2.長野県生コンクリート工業組合ホームページ
正式には【生コンクリート】といいますが、”広辞苑”には出ていません。【コンクリート】で調べて下さい。『セメント・砂・砂利・水を調合し、こねまぜて固まらせた一種の人造石。製造が簡単で、圧縮に対して抵抗力が強く、耐火・耐水性が大きいので鋼材と併用し、土木建築用構造材料として使用。』と説明されています。材料さえあれば、本当に簡単に作れます。でも、最近のニュースで問題になった欠陥コンクリートになってしまいますよ。私たちは、〔JIS A 5308レディーミクストコンクリート〕と言う規格に従ったコンクリートを製造しています。徹底した品質管理で作られていますから、安心して使っていただけます。このページでは、材料と製造方法を説明します。
セメントは、石灰石と粘土(約4:1)を主成分として高温(1,450℃)で焼成されたもので、カルシウム(Ca)、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、鉄 (Fe)の酸化物でクリンカと呼ばれています。これにせっこうを2〜5%加え粉砕したものがポルトランドセメントで、現在のJIS(日本産業規格)で6種類規定されています。
セメントを水で練り混ぜると直ちに水和反応をおこします。
JISで規定されているセメントの種類は下表の通りです。
種 類 |
記号 | JIS |
||
ポルトランドセメント | 普通ポルトランドセメント | N | R 5210 | |
早強ポルトランドセメント | H | |||
超早強ポルトランドセメント | UH | |||
中庸熱ポルトランドセメント | M | |||
低熱ポルトランドセメント | LL | |||
耐硫酸塩ポルトランドセメント | SR | |||
ポルトランドセメント (低アルカリ形) |
普通ポルトランドセメント(低アルカリ形) | NL | ||
早強ポルトランドセメント(低アルカリ形) | HL | |||
超早強ポルトランドセメント(低アルカリ形) | UHL | |||
中庸熱ポルトランドセメント(低アルカリ形) | ML | |||
低熱ポルトランドセメント(低アルカリ形) | LL | |||
耐硫酸塩ポルトランドセメント(低アルカリ形) | SRL | |||
混合セメント | 高炉セメント | A種(5を超え10%以下) | BA | R 5211 |
B種(30を超え60%以下) | BB | |||
C種(60を超え70%以下) | BC | |||
シリカセメント | A種(5を超え30%以下) | SA | R 5212 | |
B種(10を超え20%以下) | SB | |||
C種(20を超え30%以下) | SC | |||
フライアッシュセメント | A種(5を超え10%以下) | FA | R 5213 | |
B種(10を超え20%以下) | FB | |||
C種(20を超え30%以下) | FC | |||
エコセメント | E | R 5214 |
砂・砂利その他を含めて骨材と呼びます。コンクリート中には65%から80%も入っています。この骨材の善し悪しが良いコンクリートになるかどうかを決めています。種類も性質も多種多様です。ここではおおざっぱに説明しますが、詳しく知りたい人は、用語集や参考図書紹介を活用して下さい。
粒度(大きさ)による分類 | 細骨材 | 10mmふるいを全部通り、5mmふるいを質量で85%以上通る骨材 * | 砂など |
粗骨材 | 5mmふるいに質量で85%以上とどまる骨材 * | 砂利など | |
比重(おもさ)による分類 | 普通骨材 | 密度が 2.50から2.80ぐらいのもの。 | 川砂・川砂利・砕石・砕砂など |
軽量骨材 | 絶乾密度(乾いた状態)で 2.30程度から1.00程度まで用途・製造方法で分類される。軽量コンクリートを造るため用いられる。 | 人工軽量骨材・天然軽量骨材など | |
重量骨材 | 密度が3.00以上のものが多い。放射線の遮蔽などに用いられる。 | 重晶石・褐鉄鉱・磁鉄鉱などの岩石 | |
製法・出来具合による分類 | 天然骨材 | 天然にあるもの | 川砂・川砂利・海砂・海砂利・山砂・山砂利など |
人工骨材 | 人工的に製造したもの |
砕石・砕砂・スラグ骨材・人工軽量骨材など |
* ご指摘いただき修正しました。
上水道水はそのまま使えます。それ以外をJISで、上水道水以外の水と回収水に分けて規定しています。これからは、公害を考えて回収水(上澄水、スラッジ水)を上手に使っていかなければなりません。購入者のみなさまのご理解も必要になります。私たちは、上水道水以外の水の品質規定5項目、回収水の品質規定3項目に合格した水を使い有害なものをシャットアウトしています。
ほかに入れるものを混和材料とよびます。いろいろな用途に応じて入れるものもありますが、その中で重要なのは、混和剤といって使いやすさ、耐久性・品質向上のため使用されるもので、減水剤、AE減水剤が一般的に使われます。
分 類 | 説 明 | |
混和剤
|
AE剤 | 微細な独立空気泡を発生させる。 |
減水剤 | セメントの粒子を分散させる。 | |
AE減水剤 | 空気連行性を持ちセメント粒子を分散させる。 | |
高性能AE減水剤 | AE減水剤より高い減水性を持たせた。 | |
流動化剤 | 練り混ぜられたコンクリートを流動化させる。 | |
防錆剤 | 鉄筋の腐食を抑制する。 | |
急結剤 | 凝結時間を極端に短縮した。 | |
硬化促進剤 | 短期強度、早期発熱を増大させる。 | |
凝結遅延剤 | 凝結時間、初期硬化を遅らせる。 | |
防水剤 | 防水、水密性を向上させる。 | |
発泡剤 | 化学反応でガスを発生させ混入する。 | |
起泡剤 | 物理的に空気泡を発生させ混入する。 | |
混和材
|
ポゾラン | フライアッシュ、シリカフォームなど。混入により性能を向上させる。 |
スラグ | 溶鉱炉で発生した高炉スラグなど。混入により性能を向上させる。 | |
膨張材 | 石灰系、CSA系のものがあるが、水和反応により膨張させ、ケミカルプレストレスを導入する。 |
生コンクリート用語集 |
少しずつ整備しますのでお待ちください。
■アジテーター
■圧縮強度
供試体が耐えられる最大圧縮荷重を、圧縮力に垂直な供試体の断面積で除した値。一般的にN/mm2で表す。
■アルカリシリカ反応抑制対策
JIS A 5308における区分は、次による。
・コンクリート中のアルカリ総量を規制する抑制対策
・アルカリシリカ反応抑制効果のある混合セメントなどを使用する抑制対策
・安全と認められる骨材を使用する抑制対策
アルカリシリカ反応抑制対策の方法及び記号
抑制対策の方法 |
記 号 |
3. コンクリート中のアルカリ総量の規制 | AL( kg/m3) |
4.1 混合セメント(高炉セメントB種)の使用 | BB |
4.1 混合セメント(高炉セメントC種)の使用 | BC |
4.1 混合セメント(フライアッシュセメントB種)の使用 | FB |
4.1 混合セメント(フライアッシュセメントB種)の使用 | FC |
4.2 混和材(高炉スラグ微粉末)の使用 | B( %) |
4.2 混和材(フライアッシュ)の使用 | F( %) |
5. 安全と認められる骨材の使用 | A |
■AEコンクリート
AE剤などを用いて微細な空気泡を含ませたコンクリート。
■気泡コンクリート
モルタル又は最大寸法の小さい粗骨材を用いたコンクリートに、多量の気泡を含ませ、単位容積質量又は密度を小さくしたコンクリート。
■供試体
各種試験を行うために所定の形状・寸法になるように作製したコンクリート・モルタルなどの試験用の成型品。
■空気量
コンクリート中のセメントペースト又はモルタル部分に含まれる空気泡の容積の、コンクリート全容積に対する百分率。
■軽量コンクリート
軽量骨材を用いて、単位容積質量又は密度を普通コンクリートより小さくしたコンクリート。天然の骨材を用いたものは、主として被覆、断熱材として用いられる。人工軽量骨材は構造用として、特に高層ビルなどに広く使用されている。
■コンクリート
セメント、水、細骨材、粗骨材及び必要に応じて混和材料を加え、練り混ぜ混合したもの。
■コンクリートポンプ
フレッシュコンクリートを機械的に押しだし、輸送管を通して連続的に運搬する装置。
■コンシステンシー
フレッシュコンクリート、フレッシュモルタル及びフレッシュペーストの変形又は流動に対する抵抗性。
■スランプ
ワーカビリティーの測定方法の一つで、生コンをスランプコーンという容器に詰め引き上げたとき、基準からの落ち込みをcmで表します。値が大きいと軟らかく、小さいと硬く感じます。
■ジス(JIS)
日本産業規格といい、産業標準化法に基づいて制定される国家規格です。コスト低減・取引の単純公正化・使用消費の合理化等に役立つように造られています。約8,700件を越える規定があり原則として5年以内ごとに見直されています。生コンの場合は、JIS A 5308:1998 レディーミクストコンクリートに規定されており、JIS工場はこれを全て満たしています。私たちは、さらにこの上を目指し、品質監査制度に従って管理を行っています。
参考 : 品質管理監査−−このホームページ
JIS規格 −−(財)日本規格協会のホームページ(URL http://www.jsa.or.jp/))
■セメントペースト
セメント、水及び必要に応じて加える混和材料をもとに、練り混ぜ混合したもの。
■耐久性
一般的に劣化に対する抵抗性と言われている。コンクリート構造物としての劣化メカニズムは、中性化・塩害・凍害・アルカリ骨材反応・化学的浸食・疲労などがあげられ、コンクリートそのものの耐久性でなく、あわせ用いる鋼材の耐久性問題であることが多い。
■鉄筋コンクリート
鉄筋で補強されたコンクリート。
■鉄骨鉄筋コンクリート
鉄骨及び鉄筋で補強されたコンクリート。
■プラスティシティー
容易に型枠に詰めることができ、型枠を取り去るとゆっくり形を変えるが、崩れたり、材料が分離することのない様な、フレッシュコンクリートの性質。
■フレッシュコンクリート
まだ固まらない状態にあるコンクリート。
■プレーンコンクリート
セメント、水、細骨材及び粗骨材だけで練り混ぜ混合したもの。無筋コンクリート・混和材の入らないものを言う場合もある。
■ボルトランドセメント
水硬性のカルシウムシリケートを主成分とするクリンカに適量のせっこうを加え、微粉砕して製造されるセメント。JIS R 5210で6種類が、また、付属書には全アルカリ量を0.6%以下にした低アルカリ形も規定されている。
■曲げ強度
供試体が耐えられる最大曲げモーメントを、供試体の断面係数で除した値。
■ミキサ
材料を均一に練り混ぜる装置で、JISで規定された性能を持っているものを使わなければなりませ
ん。定期的な検査も当然必要になってきます。長野県内ではほぼ写真の通りの3種類が主流に使
われています。
■水セメント比
コンクリートの強度を支配する数値で、I..Lyseによって提案されたセメント水比説、D.A.Abramsの水セメント比説などから導き出される、水とセメントの質量比をいう。一般的には、セメント水比説が多く使われ、W/C(ダブリュー・バイ・シー)と言い、大きいほど強度は小さく、小さいほど強度は大きくなる。使用範囲はほぼ40%〜70%で、生コン工場では定期的に統計的処理を行い、信頼度を確保し使用している。
■無筋コンクリート
鋼材などで補強されていないコンクリート。
■モルタル
セメント、水、細骨材及び必要に応じて混和材料を加え練り混ぜ混合したもの。
■流動化コンクリート
あらかじめ練り混ぜたコンクリートに流動化剤を添加し、攪拌して流動性を増大させたもの。
■レディーミクストコンクリート
整備されたコンクリート製造設備をもつ工場から、荷卸し地点における品質を指定して購入できるフレッシュコンクリートであり、JIS A 5308で規定されている。種類は、普通コンクリート、軽量コンクリート、舗装コンクリート、高強度コンクリートに区分され、粗骨材の最大寸法、スランプ 又はスランプフロー、呼び強度を組み合わせた下表の○印のもの。なお、購入者と生産者と協議し指定するものと、必要に応じ指定することができる項目 を定めている。
コンクリートの種類
粗骨材の最大寸法
mm
スランプ又はフロー注
cm
呼 び 強 度
18 21 24 27 30 33 36 40 42 45 50 55 60 曲げ4.5 普通コン
クリート20,25 8,10,12,15,18 ○
○
○
○
○
○
○
○
○ ○ ― ― ― ―
21 ―
○
○
○
○
○
○
○
○ ○ ― ― ― ―
45 ― ― ― ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ― ― ― ― 50 ― ― ― ― ― ○ ○ ○ ○ ○ ― ― ― ― 55 ― ― ― ― ― ― ○ ○ ○ ○ ― ― ― ― 60 ― ― ― ― ― ― ― ○ ○ ○ ― ― ― ― 40 5,8,10,12,15 ○
○
○
○
○
―
―
―
― ― ― ― ― ―
軽量コン
クリート15 8,12,15,18,21 ○
○
○
○
○
○
○
○
― ― ― ― ― ―
舗装コン
クリート20,25,40 2.5,6.5 ―
―
―
―
―
―
―
―
― ― ― ― ― ○
高強度コン
クリート20,25 12,15,18
,21― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ○ ― ― ― 45,50,55,60 ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ○ ○ ○ ― 注:荷卸し地点の値であり、45cm,50cm,55cm,60cmはスランプフローの値である。
購入者と生産者と協議し指定するもの。
a)セメントの種類b)粗骨材の最大寸法
c)アルカリシリカ反応性による区分
■ワーカビリティー
材料分離を生ずることなく、運搬、打ち込み、締め固め、仕上げなどの作業が容易に出来る程度を表すフレッシュコンクリートの性質。
[参考図書]
(財)日本規格協会 JISハンドブック
全国生コンクリート工業組合連合会 品質管理ガイドブック
太平洋セメント(株) 図表で見るコンクリートの基礎知識
2021.04.28